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2020.08.13

8月の室内装飾

今月のテーマは「お盆」で、なす、きゅうり、ほおずき、みそはぎを飾っています。

お盆の時期になるとなすときゅうりで馬や牛に見立てた精霊馬(しょうりょううま)を作る慣習がありますね。お盆の時期に故人やご先祖様の霊が家に戻ってくる際に行き来する乗り物として作られたとされています。帰ってくる時は早く帰ってきてほしいから足の速い馬に見立てたきゅうりを、帰りはゆっくりしてほしいからのんびり進む牛に見立てたなすを使う、という意味があるそうです。なすときゅうりは夏野菜としてお盆の時期に多く収穫され入手するのが簡単だったため、お供え物をして適していると考えられていたようです。

 

ほおずき(鬼灯)は丸みを帯びた形と炎のようなオレンジ色の見た目が提灯に似ていることから、故人があの世から帰ってくる道しるべとして飾られるようになりました。ほおずきの中は空洞になっているので、ご先祖様の魂が宿る場所とも考えられているそうです。また、疫病が幾度となく流行していた江戸時代では、漢方薬として用いられていて「健康祈願」「病魔退散」の植物として重宝されながら疫病を乗り越えてきたそうですよ。

 

みそはぎ(禊萩)はお墓やご仏壇に供える盆花として知られている植物で、小さく鮮やかなピンクの花を穂のようにまとまって花を咲かせます。みそはぎは、お盆に作る精霊棚のごはんの横に配置され、これはお盆で供養する餓鬼(生前前に飲食に関する罪を犯した者)はのどが狭くごはんが食べられないことから、水とのどの渇きを抑える作用のあるみそはぎを添えておくためと言われています。

 

室内装飾を子どもたちと一緒に観察してみました。あまり見慣れない精霊馬を触り「すごいね」とよく観察していました。ほおずきは「トマトみたい」「すっぱい匂いがする」と匂いを嗅いだあと、中の実を触っていると汁が出てきたことに驚いていました。オレンジの実と青い実の色の違いにも注目したりと様々な発見があったようです。

 

今年は夏祭りが中止になってしまったため、日本の伝統行事を絵本や写真、室内装飾を見ることで日本の文化に触れていければと思っています。今年は感染症拡大の影響で花火大会やお祭りが中止になり、帰省等も懸念されている中でなかなか難しいとは思いますが、ご家庭でもできる範囲で夏の伝統行事について触れていけるといいですね。また、お盆は家族や血縁に限らず心に思い浮かぶ人のことを思い、過ごす時期でもあります。それぞれがそれぞれのお盆をゆっくり味わえるといいですね。