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2024.05.14

「赤ちゃん痛いって・・・」

 

今週は『赤ちゃん人形』についてお伝えしていきたいと思います。

 

保育園では子ども達に一人一体ずつ「赤ちゃん(お人形)」を用意しています。職員が一つひとつ丁寧に手作りをした赤ちゃん。一体一体肌の色、髪の毛、瞳の色、体系など違いがあります。様々な個性があることで「こうあるべき」という先入観を持たないようにしています。

「自分の赤ちゃん」としてお世話をする中で子ども達がその時々の感情から、笑っているように見えたり、泣いているように感じたりイメージが膨らむように口や目を小さく付け、無表情のような表情になっています。

子ども達は日々の生活の中で自分の欲求や思いを身近な大人に受け止めてもらい、温かい関わりの中で情緒的絆が形成されます。そして相手を信頼する気持ちが育まれていきます。

そして、少しずつ信頼する大人が自分にしてくれたことを模倣しようとして「赤ちゃん」のお世話をしようとする姿が見られるようになります。自分がしてもらって嬉しかったことなど「赤ちゃん」に再現することで、『自分は愛されている、大切にされている』ということを感じられるようにしています。愛情は受けることで返していけるため、徐々に周囲の人や物への愛情も育むことに繋がっていくのですね。

 

 

 

ある日のそら組での出来事です。

「先生!赤ちゃんが痛いって・・」と子ども達の声。見てみると、足の縫い目がほつれていました。子ども達は『大切な赤ちゃんがケガをしている』と感じたのでしょうね。「ほんとだね、痛そうだね・・」と共感し、応急処置で絆創膏を貼り、手当てをしました。その後は「一緒にお散歩に行く!」と抱っこをしてお散歩に向かいました。帰園後、赤ちゃんのケガが治るように病院へ連れて行ってみようとお話しし、赤ちゃんをお預かりすることにしました。

 

 

次の日。「赤ちゃん、ケガ治ったかな」と保育者が呟いてみると、ハッとしたような表情を浮かべ「見に行ってみる!!」と病院へ向かう準備をし始めました。

 

「赤ちゃん、治って元気になりましたよ」と傷があった場所を子ども達と一緒に確認しました。真剣な眼差しで見つめる姿が見られていましたよ。

病院(事務所)からお部屋に戻る途中にも、「赤ちゃん治ったよ!!」「なでなでしていいよ」と他のクラスの保育者やお友だちに嬉しそうにお話ししていました。「よかったね」「安心したね」と子ども達の気持ちに寄り添って声を掛けています。

 

 

自分のお部屋に戻ると「赤ちゃん眠いかな」「ミルク買わなくちゃ」と忙しそうにお世話に夢中になっていました。布団の上からトントンしたり、顔に布団がかかっていると、かからないようにかけ直す姿は見ていてとても温かい関わりだなと感じています。ごはんを食べさせる際にも顔をのぞき込んだり優しく声を掛ける姿も見られていました。

 

赤ちゃん人形だけでなく、お友だちに対しても『やってあげたい』という気持ちが芽生えているようですね。

 

子ども達が赤ちゃん人形にしている行動や声掛けを見たり聞いたり一緒に関わっていると、そのどれもが一生懸命でとても優しい気持ちになりますね。私たち保育者も本当の赤ちゃんに接するように赤ちゃん人形に関わることを大切に過ごしていきたいと思います。