2024.10.02
9月室内装飾
今回は9月の室内装飾についてお伝えします。
9月(長月)の装飾
~秋分と彼岸~
彼岸花(曼殊沙華) お供物(干菓子)
彼岸
浄土教の思想では、極楽浄土は遥か西のかなたにあると考えられている為、太陽が真西からのぼって、真東に沈んでいく秋分と春分の日はこちらの世界である此岸(しがん)と仏様の世界である彼岸が最も近く通じやすくなり、ご先祖様への思いも最も通じやすくなるのではないかという思想が生まれ、お彼岸にご先祖様の供養のためにお墓参りをするという行事が定着していったようです。秋のお彼岸は秋分の日を中日としてその前後3日間を合わせた7日間で、今年は9月20日が彼岸入り、23日が中日、26日が彼岸明けです。
彼岸花
曼殊沙華(マンジュシャゲ)とも言われます。曼殊沙華とは仏典に由来する言葉で、サンスクリット語で「天界の花」という意味を持っています。彼岸花は球根の植物で、葉より先に花が咲きます。8月中旬には球根の中で花を咲かせる準備を終え、最低気温が20℃前後にまで下がってくると、一斉に花茎を伸ばし花をつけます。今年は特に暑い日が続いていたので、やっと花茎を伸ばし始めているようです。
不思議な形の華やかな彼岸花に「わあ!」と手を伸ばして触ったり、じっと見つめるほし組さん。保育者に「きれいだね。ツンツンしてみる?」と進められるとツンツンと触れ、触ることができたことに満足げな笑顔を見せてくれました。本物のお花との関わりが少ない小さなほし組さんたちは、彼岸花の不思議な形に目を奪われるようでした。
彼岸花はお花だという事が分かっているつき組さんは「わあっ!きれいだね!」と指で優しく触れる子、いつもあそびの中で触れているお花とは違う姿の彼岸花に不思議そうに観察する子、それぞれでした。
そら組さんは、彼岸花の「きれいだけどちょっと不思議」なあの姿を眺め、少し遠巻きに「きれいだね」「かわいいね」と保育者に教えてくれました。大人の目から見ても不思議な印象の彼岸花。お花というものがどういうものかをあそびのなかで繰り返し観察しているそら組さんだからこその姿かもしれません。
彼岸花の隣に置いてあるお花の形のカラフルな干菓子に気がつくと、みんな”これはなんだ?”というような表情で触って感触を確かめていました。保育者から「これはお菓子でなんだよ」と聞くと、鼻を近づけてスンスンと匂いを嗅ぎ始める子もしましたよ。
そら組さんは担任からお墓のお供えのお菓子であることを聞き、他のクラスの保育者に「これはお墓のなんだよ」「お花の形なの」と説明してくれました。干菓子の可愛らしい形に、優しくなでながら「かわいいねー」とにこにこしながら話してくれる子もいましたよ。
毎年お彼岸の時期に突然現れたように咲く彼岸花。この時期の気候や空の色、空気の匂いなどと共に、日本の文化、伝統行事と繋がって子どもたちの記憶に残ってくれればと思っています。